- 2022.12.05
- コラム
寒い家は危険!家庭で起こる死亡事故の実状(2021年版)
最新の統計データ(厚生労働省人口動態調査結果)をもとに、私たちの生活の中に潜む『家庭内の不慮の死亡事故の実状』をお伝えいたします。
― 家庭内の不慮の事故による死亡者数
2021年の家庭内の不慮の事故による死亡者数は13,352人(前年比-2.6%)で前年とぼぼ同じ、交通事故死亡者数2,636人(前年比-7.2%)と比較すると5.1倍の方が不幸にも家の中で亡くなられています。交通事故死者数は減少傾向が続くなか、家庭内事故死者数も以前より減少傾向になったものの、歯止めはかかってはいません。
日常生活の中で、交通事故と同様に「家庭内での不慮の事故」について注意していく必要があります。
― 家庭内の不慮の事故の内訳
では、家庭ではどのような不慮の死亡事故が起きているのでしょうか?
一般的に「階段やバルコニーから落ちる」「火災」などが多いと思われがちですが、最も多いのは「溺死及び溺水(5,398人)」で40%を占めます。そのほとんど(5,031人)が「浴槽内での溺死及び溺水」で命を落されています。
その原因は、寒い冬に「気温差による急激な血圧上昇降下で意識を失い浴槽内で溺死」「長くお湯に浸かりのぼせてしまい意識を失い溺水」が多いといわれています。どちらも広い意味で”寒さによるヒートショック”が原因といえます。
― 年齢別の内訳
年代別に見ると、高齢化するにつれて増加傾向にあり、65歳以上で全体の87%を占めます。また、どの年代も「溺死及び溺水」が最も多くなっているのが現状です。
また、厚生労働省の人口動態調査結果による「浴槽内での死者数」は5,031人ですが、東京都健康長寿医療センターの研究報告(平成26年3月26日発表)によると、「救急搬送されてその後亡くなられた方や不搬送数を考慮すると年間約17,000人と推計される」と報告されています。単純に一日あたりに換算すると、47人もの尊い命が奪われていることになり、とても驚きな事実です。
― 夏より冬が危ない!
ところで、真夏になるとニュースで熱中症による健康被害の注意喚起が盛んに行われますが、「家の中での熱中症死者数」と「浴槽内の死者数」を比較すると、実は16.7倍もの人が浴槽で亡くなられています。
近年は、気候変動の影響により地球温暖化で猛暑日が増加し、熱中症リスクも高まってきますが、それ以上に『寒い家が危険』ということがお分かりいただけるかと思います。
最近では、「ヒートショック」の注意喚起を様々な場面で聞くようになりました。先日も、ニュース番組の天気予報で気象予報士さんがヒートショックについて解説があったりと、寒い冬の話題として世間に浸透してきていると感じます。しかし、そもそもの原因が『家の断熱不足』であり、”ヒートショック”と”寒い家の危険性”がセットで、多くの方に認知されていくことを願っています。
家庭内死亡事故死者数が最も多い「浴槽内での溺死及び溺水事故」を減らし、健康長寿の社会構築をしていくためにも、”家の寒さ対策”がとても重要です。
ただし、家の寒さ対策として、エアコン等の暖房機器を多用し室内の温度調整をしても、断熱不足のお家では、同時にエネルギーを浪費してしまうことになります。そこで、家の保温性(断熱性)を向上させることがとても大切となります。
※社会課題を定量的にお伝えするために、客観的なデータとして「死亡者数」を利用させていただいたことをご理解ください。亡くなられた方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、罹患された皆さまとご家族および関係者の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
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