- 2022.05.13
- コラム
ごみから環境問題に向き合う ―石坂産業様 見学レポート―
石坂産業株式会社様(以下、石坂産業様)は、“あらゆるごみを資源として循環させ、「ごみ」という概念そのものをなくす”というビジョンのもと、埼玉県入間郡三芳町で『産業廃棄物の中間処理事業』『地域の里山保全事業』に取り組み、循環による持続可能な社会の実現を目指している企業です。
東京ドーム約4個分の自然に囲まれた敷地内には、再生可能エネルギーを活用した廃棄物処理工場(プラント)をはじめ、自然を体感できる里山と自社農園(オーガニックニックファーム)があります。
今回は循環型社会のヒントを得るために、石坂産業様の産業廃棄物処理工場と里山の見学をさせていただきました。(*2023年3月時点)
【産業廃棄物処理工場の見学】
- ごみをごみにしない社会を創る。“ごみにしない技術” とは。
まず、印象的だったのは、工場全体が全天候型独立総合プラントになっていることです。
産業廃棄物処理というと、広大な敷地の中に厚い外壁で覆われたプラントと煙突があるイメージでしたが、石坂産業様は焼却をやめたため工場に煙突がなく、かつ天井が完備された清潔感ある建物でした。プラントの外側には防音壁が設置されており、粉塵が外に漏れないような配慮がされていました。
このプラント内で、建設系廃棄物が完全処理されており、業界でもトップレベルの「減量化・リサイクル率98%」を達成しています。また、同業他社が処理できない廃棄物も石坂産業様によって再資源化しています。
98%という再資源化率を可能としている理由は、徹底的な分別分級(ごみを適正に処理)しているからです。”ごみにしない技術”を開発し続けるためにも、先進的な装置の導入だけでなく、人の知識や技術力を追求していることで可能にしています。
工場見学を通して、廃棄物処理の在り方や業界のイメージを変えていくための努力や工夫、環境問題と建設系廃棄物のリサイクルによる「好循環」を生み出すための情熱を注がれていることを間近に感じました。
【里山保全・三富今昔村の見学】
― 五感で学ぶ、サステナブルフィールド。
石坂産業様は環境事業を営む企業の使命として、地域の環境を守り歴史を今に伝えるため、里山保全活動に取り組んでいます。
三富今昔村(さんとめこんじゃくむら)では、江戸時代から続く三富新田を構成する武蔵野の雑木林の保全再生を地域貢献活動の事業で、石坂産業様の会社周辺を取り囲むようにある『くぬぎの森』という里山を保全しながら、石坂オーガニックファームでの野菜栽培やフェアトレード商品の販売等、生活者の皆さんが実際に持続可能な社会を体感できる場を提供しています。
『くぬぎの森』以外にも、石坂産業様の周囲には多くの雑木林がありました。その雑木林のいたるところで、不法投棄されたゴミが見受けられました。くぬぎの森のような、里山保全の活動がどれだけ環境によい影響を及ぼすかを、説明と実際に体感しながら認識することができました。
【まとめ】
今回、廃棄物処理工場と里山保全を見学することで、自然資源の循環についての仕組みや取り組みについて学べました。持続可能な社会を実現するためのヒントと、至るところに感動ポイントがあり、ポジティブに環境問題に向き合うことができました。
<わかったこと・感じたこと>
●適切に廃棄処理されることで”ごみ”が”資源”という新しい価値に生み出される
●ごみから生まれた資源が有効に利用されることで、最終処分場の残余容量ひっ迫問題も緩和する可能性がある
●モノがうまれるまでだけでなく、将来的にモノがどのように再利用されるかを知ること、考えることが大切
●循環を意識すると、人にも環境にもいい選択ができる=好循環がうまれる!
●再資源化の技術は進んていくが、まず前提として”環境に良いもの”を選ぶことが環境問題解決に繋がる
●いまある自然資源を大切にし、自然環境も守り育てていくことが大事
●人が適正な対応や行動をすることで、循環を生み出す持続可能な社会にできる
様々な背景を知ることで、地球環境や生産者を意識した”エシカル(影響をしっかり考える)”なアクションに変わると感じました。
石坂産業様をはじめ、産業廃棄物処理に携わっている皆さまの企業努力に感謝しながら、私たち一人ひとりができることとして、まずは知ることが大事だと改めて思いました。人は知れば、意識や行動が変わります。
最後に、石坂産業様の皆さまの心遣いやあたたかさが魅力的でした。おかげで、人と環境のおもてなしに感動した1日になりました。
アテンドいただきました中村このみさん、石坂朱音さん、貴重な機会をありがとうございました。
【ロングライフ・カレッジで見学会開催いたしました!】
●2022年7月「第1回見学会レポート」はこちら
●2023年6月「第2回見学会レポート」はこちら