今後、人生100年時代の超高齢社会を迎えるにあたり、大きな課題が2つあると考えます。
1つは、高齢者が増え続けると、社会保障費の負担が増え、65歳で定年と考える今の働き世代では支えきれなくなることです。
しかし、高齢者が健康に暮らし続ければ、支援が必要な高齢者が減り、元気な高齢者は働き世代に仲間入りすることもできます。結果的に、一人ひとりの社会保障費の負担を減らすことができます。
ところが、日本人男性の平均健康寿命は72歳(2016年厚生労働省調べ)。65歳の定年を迎えてから、わずか7年で介護・支援が必要になってしまうため、「健康寿命を延ばす」ことがとても重要です。
もう1つの課題は、43兆円(2017年)までに増大している国民医療費です。一人あたりの医療費は高齢になるほど増える傾向にあり、高齢者が増えれば、医療費はさらに増え続けていきます。
このまま医療費が増え続けると、健康保険制度は崩壊してしまうかもしれません。これを阻止するためには、少しの体の不調でもすぐ病院に行き、多くの薬を服用してしまう日本人の意識を変えていく必要があります。
私たちは、国民一人ひとりが「生活習慣の改善や過度な医療に頼らず、健康寿命を延ばすことや健康維持増進を意識する」。そんな社会の実現を目指し、情報提供活動を行っていきます。
ロングライフ・ラボでは、今後以下の活動を予定しています。
専門家によるセミナー(講演)を定期的に開催し、「生活習慣の改善や過度な医療に頼らない取り組み」などの情報を提供します。ゲストとのパネルディスカッションによって進行するシンポジウム、あるいは、一般の方に参加してもらい健康についての意識を深めるワークショップの開催も企画していきます。
「セミナーのテーマに合った講師を呼びたい」「テーマ自体から提案してほしい」など、行政や教育機関などの諸団体、あるいは法人向けに、企画の立案や講師の派遣、セミナーの運営まで総合的にサポートします。
今後、下記のテーマに沿ったセミナーやシンポジウムを開催します。
2019年4月時点の日本の人口は約1億2,600万人、うち65歳以上の高齢者は約3,600万人で総人口の約3割を占めます。一方、働き世代の人口(20~64歳)は約7,000万人で、1.9人で1人の高齢者を支えている計算になります。
今後、65歳以上の高齢者人口は増加するのに対し、働き世代人口は減少すると予測されています。近い将来、働き世代は高齢者の社会保障費(年金・医療・介護)を支えきれない状況になることが推測されます。
(人口統計データの出典元:総務省統計局 人口推計(2019年4月確定値より))
厚生労働省の調査結果によると、2013年の日本人男性の平均健康寿命は72歳。平均寿命は81歳です。女性は健康寿命が75歳。平均寿命が87歳です。
このデータを基に考えると、特に男性は65歳の定年を迎えてからわずか7年で介護・支援が必要になります。加えて、その後9年もの間、要介護となり、働き世代が支え続けなくてはいけません。
1964年、日本の医療費は9389億円で1兆円にも満たなかったのですが、高度経済成長とともに増加し、バブル崩壊後経済成長が止まったのちも増加し続け、2013年には40兆円を超え(わずか50年間で40倍)、2017年には43兆円となりました。
財源別にみると、公費と保険料で38兆円を負担しており健康保険制度は崩壊の危機を迎えています。
(国民医療費の出典元:厚生労働省 国民医療費 結果の概要)
日本人は病院好きで年間の受診件数は12.6回(OECD調べ)で世界第2位です。OECD加盟国の平均が6.75回ですから日本人は世界平均の約2倍も病院に通っているのです。